校長室

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本校ウェブサイトにようこそ

1991年に創立された本校(略称SIS)は、併設する大阪インターナショナルスクール(略称OIS)とともにその歴史を刻んでまいりました。

ひとつのキャンパスに帰国生徒・一般生徒・外国籍生徒がほぼ3分の1ずつの割合で在籍し、二つの学校が一体となって(Two Schools Together) 多文化教育を実践し、生徒一人ひとりの個性と才能を磨いています。

このキャンパスでは、「5つのリスペクト」という行動指針を尊重しながら自らの人間性をどのように高めるかについていつも考え、学び合っています。このような日々の学習と学校生活をとおして、"Informed, Caring, Creative Individuals Contributing to a Global Community(知識と思いやりをもち、創造力を駆使して世界に貢献する個人)"を育てることが学校の使命と考えています。

創立以来、IB認定校であるOISと共に歩むことにより国際教育を推進してきましたが、2010年に関西学院千里国際中等部・高等部として再スタートを切って以来、さらに新たな取り組みを加えています。2013年度より、国際バカロレア(IB)のフルディプロマ取得やIB英語のサーティフィケート取得が可能になりました。2015年度には文科省のスーパーグローバルハイスクールの指定を受け、大学との連携体制を強めて、以前から取り組んでいた探究型学びの集大成と言える高校生の課題研究・論文作成の体制を発展させています。

1991年、本校開校の原点には文部省(当時)の、「新国際学校構想」がありました。その構想の中で“21世紀の国際社会を見据えたパイオニア校”として、インターナショナルスクールと日本の学校が共に教育活動を行うこのキャンパスが生まれたのです。設立から25年を迎えた2016年に校長に就任した者の使命として、これまでの歴史と伝統、実践を振り返り、次の25年間も引き続き日本の教育界におけるパイオニア校として、「知識と思いやりを持ち、創造力を駆使して世界に貢献できる」世界市民を育てていきたいと考えています。

井藤眞由美

SIS 校長

 

校長プロフィール

大阪市で生まれ、幼稚園から大学まで地元大阪で学んだ後、大阪府立高校の英語教員に。10年間の勤務ののち、1992年~1998年の約6年間アメリカに滞在。シカゴとサンディエゴの二か所に暮らし、学生生活を送りつつ、三人の子供を現地幼稚園・小学校と補習校に通わせる。1998年San Diego State University大学院応用言語学[バイリンガリズム]Master’s Degree取得後帰国。2000年より本校英語科教員、2009年より教頭、2016年より現職。

Speeches and Articles

2018/4/4 2018年度入学式式辞

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本日ここに、73名の中等部入学生、82名の高等部入学生、11名の編入生の皆さんをお迎えしました。

田淵関西学院院長、OIS校長のMr Kralovec, 関西学院初等部の上田先生にもご臨席を賜り、教職員一同、そしてSISの生徒全員が祝福するこの場で今皆さんはSISに入学されました。ご入学おめでとうございます。心より歓迎します。保護者の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。

SISがインターナショナルスクールであるOISと一緒に歩みはじめて28年目になります。

OISとともにあるこの環境で、私たちは、地球市民として、将来は世界のどこででも自信をもって生きていける、誰かのために貢献できる人になる勉強をします。

このキャンパス自体がOISとともにある小さな国際社会ですが、

キャンパスを飛び出して他の国の学校との交流の機会もあります。

高校ではオーストラリア・ドイツに姉妹校があります、中学でもアメリカのオレゴン州で日本語を勉強しているMr Tabor中学の8年生、ちょうど今月の19日に44名がやってきます。

そして、先月は、新しいプロジェクトが実現しました。ポーランドの高校との交流です。ポーランドのウッジ市にあるウッジ第二高校に、SIS/OISの高校生15人と岡本先生そして私がでかけてきました。ポーランドで過ごした深くて濃い交流の日々のことは、参加者の人たちが別の機会に報告をしてくれる予定です。11月にはあちらから来てもらう予定ですのでみんなで歓迎してもらいたいです。日本語を勉強していて、日本文化への関心もとても高い皆さんです。

さて、ポーランド。今日は、SISでの学びで大切にしてほしいことを伝えるのに、ポーランドが産んだ、ある人物にちなんで話をしたいと思います。

人物は誰が浮かびますか。ポーランドの人が一番にあげるのはヨハネパウロ二世であるようです。第264代ローマ教皇(在位:1978 - 2005年)、戦争反対への呼びかけ、そして数々の平和行動を実践されました。他には?ショパン キュリー夫人 コペルニクス・・・私が今日お話をしたいのはコペルニクスです。

コペルニクスという名前を中学一年の皆さんも聞いたことはありましたか。何で有名な人でしょうか。

地動説。それまでは、天動説、太陽が昇る・沈む、という言葉通りに天体の方が動いていると思っていたのに、実は太陽はじっとしていて地球のほうがその周りを動いている、との説。みなさん、自分がもしその時代に生きているポーランド市民だったら・・と想像してみてください。当時の人には、そもそもこの大地が動いているなんてそんな恐ろしいことは絶対に信じたくないという思いが一番にあったことでしょうが、もしも、この考えに賛成すれば牢屋に入れられたり、本を焼かれたり、ひどい目にあったのですね。あなたが16世紀のポーランド人だったらこの新しい考えにどんな反応をしたでしょうね。

このように価値観が180度ひっくり返る体験、自分の生き方や考え方を180度変えるということを表すのに、コぺルニクス的転回という言葉があります。略してコペテン。皆さんの人生にはこれまでどんなコペテンがあったでしょうか。

日常生活の中のコペテンについて考えてみましょう。例として

コペル君のことを知っている人は多いのではないでしょうか。「君たちはどう生きるか」という戦争の時代に書かれた吉野源三郎著の本、漫画版が去年ベストセラーとなりました。コペル君というのは、中学生の主人公におじさんがつけたあだなです。コペルニクスのコペルです。小学生の時はまだこどもとして自己中心的に世の中をみていた主人公が、ある日突然、人間はみんなバラバラな存在だけどどこかでつながっていると感じて「人間って水の分子のようだね」といったのです。おじさんは天動説から地動説に変わったようなものだね、といってその日からコペル君と呼ぶようになります。その日からコペル君は感じたことや真実こころを動かされたことから自分の気持ちをごまかさずにそのことの意味を考えていく中学生活を送ります。7年生の人とはコペル君のことについて別の機会にもっと一緒に考えたいなと思っています。

ところで、コペルニクスは、地動説をある日突然ひらめいたわけではありません。天動説を深く探究することから地動説を誕生させたのです。悩んだ末に、これまでと全く逆の発想をとりいれて研究をつづけたのですね。

コペル君に続いてもう一人紹介したい人がいます。卒業したばかりの皆さんの先輩、富山ももさんです。先日SGH甲子園で最優秀賞を受賞されました。課題研究論文が全国一位となったのです。新入生の人は、オリエンテーションの日に田中教頭先生からも聞きましたね。素晴らしい結果ですが、結果だけではなくももさんの研究プロセスにも注目してほしいと思います。ホームページから入れるSGHブログをぜひ読んでください。

SIS高等部では全員が課題研究に取り組みます。この、学校で決まっているプログラムにももさんも参加して論文を完成させ、授業としては終了したのですが、もやもやが残りました。うまく伝わらなかったという悔しさが残ったそうです。そこで12年生の夏休みに保護者を説得してなんと一人カンボジアにでかけて現地の人にインタビューなどして研究をつづけたそうです。最初は「授業だからがんばるけど、しんどい。苦しい」だったのが、「授業だからやるではなく、これは自分の研究。本物の研究を一人の研究者として納得いくまでとことんやってやる」へと転回しました。すばらしいコペ転の例ではないでしょうか。本物の学びというものを後輩に示してくれたももさんに敬意を表します。

入学生皆さん、明日から始まるSIS生活をコペテン体験にあふれるものとしてほしいと思います。180度もひっくり返らなくてもいいのです(それは人生に一度もあれば十分)。90度、45度、5度くらいでもいいですから、毎日、このキャンパスで新しいものや人、自分とは違う考え方との出会いを、楽しんでください。

苦手だと思い込んでいたことや、今まで想像もしていなかった新しいことにチャレンジしてください。

太陽の周りを動く地球のように、じっとしていないで自分から動かなければだめです。チャンスはたくさん用意しています。宇宙に浮かぶ星と同じで、チャンスも待っていては降りてきてくれませんから。自分でジャンプしてキャッチしてください。

SISOISが共にあるこのキャンパス自体がそもそもコペテン。28年前に、それまでの常識を覆す学校として誕生しました。

学校も、先生たちも引き続きチャレンジしていきます。明日からの生活、一緒に頑張りましょう。

入学おめでとう。

2018年4月4日 SIS校長 井藤眞由美

2018/3/14 中等部卒業式式辞

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SIS中等部卒業生の皆さんおめでとう。保護者の皆様本日はおめでとうございます。

みなさんは日本の義務教育を終えられました。おめでとう。

2015年4月1日 体育館で、万国旗と大歓声に迎えられた入学式

生徒宣誓、7年生からは シンキ、シリン、ミリカ、ニコラ、サーラ、タイガが代表を務めてくれました。あの日から三年、この間編入してくれた仲間が増え、途中でさようならをしなくていけない人もいて、本日73名、立派に成長した73名がSIS中等部を卒業します。

みなさんの活躍と成長の様子は、いろんな場面で見せてもらいました。そのベースには5リスペクトという考え方がありました。中学を卒業するにあたり、5つのリスペクトををテーマにした卒論として、中学を卒業する思いを綴ってもらいました。シアター入り口に並べていますので、保護者の皆様、ぜひ本日の時間の許す限り読んでいただければと思います。

みなさん一人ひとりの率直な思い、どんな出来事や人が影響を与えてくれたのかなどを読ませてもらうのは大変読みごたえがありました。何か一つQuestionを取り入れ、アンケートや聞き取りによって考察してみることを提案しましたところ、多くの人が興味深いデータを集めてくれました。みなさんの卒論を読みながら感じたことを二つ話をさせてください。

その1 発見したこと

この学年の人たちにとってRespect for Othersが一番の強みであるようです。

司くんの実施したアンケート。5つのうちで大切にしているものは?という質問に「他人を大切に」が一番との結果が出ました。

「常にアンテナを張って人の役に立つことがあれば自分がやる。この精神が地球に溢れると世の中が平和になるのだ」と力強く書いてくれた人がいました。

また、「他人を大切にとは、その人にとって最高の未来を導かせてあげること。なのに真逆なことをしてしまって後悔している。」と振り返っている人もいました。

「両方向に違う考えを受け入れ、尊重し、そこで最善策を考える、そんな力が伸びた自信がある」と同じ趣旨のことをとても多くの人が書いていました。

お互いを認め合える素晴らしい仲間を得ましたね。

初めてのHSスポーツディのチームワークは輝いていましたし、グループごとのリサーチ活動から開始した学年旅行も大成功でしたね。

Respect for Others な学年だったことを誇りに思ってください。

その2 「自由」について

サーラのアンケート調査は、「この自由な環境で成長できたと思いますか」 30/35がYESと答えました。自由には責任が伴う、とは日々言われてきたと思いますし、制服はなく細かいことを禁止するような校則はありません。しかし自分で考えないといけないから「自由の方が実は難しい」と気づいています。でもこの難しい自由な環境で「成長できた」と感じている人が圧倒的多数でした。これは嬉しい結果です。そして、中学3年間でこのように考えることができたみなさんへ。高校生活という次のステージで自由についてさらに深く追求してほしいというのが私から今日一番伝えたいメッセージです。

自由って何なんでしょうね

少し前のことですが、ニュース記事でこういう情報を目にしました。「世界価値観調査」で、60カ国を対象に、「自分の人生をどれほど自由に動かせるか」。自己評価で10段階で回答するアンケートによる調査で一位はどこだったと思いますか?メキシコが8.4ポイントで一位、二位はトニニダード・トバゴ 三位がコロンビア、と中南米の国が上位を占めました。。参考までアメリカが11位、韓国が47位、日本は下から二番目の59位5.7ポイントということでした。

貧富の差や階層間の移動が難しいという制約は中南米の方が強いと思われますが、豊かで、好きなところに住み恋愛や結婚も自由にできる国で、思想信条の自由や言論の自由も保証されているはずの国で、人々が自由を実感できないのはなぜだろう、と考えさせられるデータです。

たまおさんのアンケート調査では、「一番役に立ったリスペクト」は?との質問があり、ここで一位に輝いたのは「自分を大切に」でした。たまおさんはその理由として「日本だからという理由が大きいと思う。日本文化には自分を大切にするよりも、自分の身を粉にしてでも社会や他人のために貢献することが求められるから」と述べています。

こうじろう君も「日本社会の5R」と題して書いた文中に「日本では自分を優先的に考えると『自己チュー』と呼ばれる。もっと自分の意見をしっかりと相手に伝える必要がある。他の人を考えることは社会の中で重要ではあるが自分を削るようなことをしても自分に見返りはこないのだから。」と書いていました。

日本社会にはRespect for Selfに含まれる、精神の自由が足りないということでしょうか。

今、国会周辺で起こっている非常に残念な事態をみても、「忖度」というのはまさにRespect for self の反意語なのだなと思います。

みなさんが大人になった時に「あなたの人生は自由ですか」という質問に10段階のどんな数字をこたえるでしょう。みなさん自身の人生について高いポイントで答えてもらいたいし、社会をそのような方向に変えていく1人でもいてほしい、なれるかな、絶対なっていてほしい、と思うわけです。

SISの高等部に進学する人も、他の学校に進む人にも、4月からは新しい出会いが待っています。大人への階段をのぼる高校生というステージで、また違った価値観を持った人と刺激を与え合いながら、知的好奇心の赴くままに自由に好きなことにチャレンジし、人生の選択肢を広げてほしいと思います。

ある人が「あとがき」としてこう書いていました。

この卒業論文は、過去を精算するために書いた。読み返すことはないと思う。と。

それでいいのです。中学生活をしっかり振り返った後は、もう後ろを振り向く必要はありません。前進あるのみ。4月からの新しい自分に向けて。自由な人生のために。

最後に一言、ヒューゴに教えてもらった言葉です

YOLO: You only live once

卒業おめでとう

2018年3月14日 SIS校長 井藤眞由美

2018/3/3 高等部卒業式式辞

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3月3日 桃の節句。この良き日に、温かな春の陽気に包まれて卒業式を執り行うことができますことを、心からうれしく思っています。2018年卒業生の皆さん 卒業おめでとう。

ご家族の皆様へ、お子様をここまで立派に育て上げられたことへの敬意、そしてこれまで学校に大きな支援をいただきましたことへの感謝の気持ちを込めて教職員を代表して申し上げます。「お子様の御卒業、誠におめでとうございます。」

卒業生の皆さん、あなたたちは今こんなに暖かい声援に包まれて卒業証書を授与されました。感触はいかがでしょう。

卒業証書の重みを感じながら目を閉じるとき、一番に映像が浮かぶ思い出の場面はどんなものでしょう。

皆さんは中学の時から個性豊かで元気はつらつ、パワフル学年でした。高校に入学してからますますパワーアップ、さらにアカデミックパワーもうんとアップしました。ここ数週間に過去5年分のイヤーブックや各種写真集、SGH課題研究論文やポスターを見ながら皆さんの高校生活を振り返っていたのですが、まぁ立派に成長しました。よく頑張りました。84人の個性で活躍の幅は広がり、輝かしい功績をたくさん残してもらいました。感動の場面もたくさん見せてもらいました。そんな皆さんが今一番に思い出すのはどんな映像なのだろうか、と想像しています。将来、例えば40年後に一番に思い出すのはどんな場面だろうかと。

思い出とか記憶というのは不思議なものです。 私くらいの年になると、高校時代の同級生に会う時40年ぶりだね、という事が時にありますが、遠い昔に共に経験したはずのことを覚えている人も覚えていない人もいて、中には自分の都合のいいようにアレンジした思い出に変えてしまっている人もいて、記憶の捏造だと言って、それは中年同窓会の笑い話となるのです。また、保護者の皆様とっては、3歳までのあなたたちとの時間は、親子の最も濃密な幸せな時間で、あんなに可愛いことを言ってくれたな、と思い出すのに、なのにみなさんには記憶がないですよね。(いや、今もかわいいことを言っていると思いますが)ここで言いたいことは、記憶に残っているかどうかとそれが重要なことかどうかには必ずしも相関関係はないということです。記憶には残っていなくてもここで過ごした日々、笑った日も泣いた日も、さらには最悪だったと今思っていることも、例えば、ピンクパンサー率いるピンクチームが優勝した感動のあの日よりも、準備の段階でうまくいかない事があって大変だったあの日の方があなたの人生にとっては大事な1日かもしれない。そんな全ての日々が今日のあなたを作っています。それがこの卒業証書の重みです。

記憶に残っているもの、残らないもの、という話をしましたが、同じことが、目に見えるもの、見えないもの、についても言えると思います。有名な星の王子さまのセリフを引用するまでもなく、本当に大事なことは目には見えない・・。それに昼間の星は見えません。

21世紀の現代社会に目を向ければ、様々な情報が溢れ、極端な主張が社会を支配してしまうようなことも多くあるこの社会で、本物を、本質を見極める目を持つ力を大事にしたいと日々思わされます。見えているものや聞こえてくるものは本物なのか、とまず疑って見たほうがいい。そして惑わされないで情報を処理し、しっかり自分の頭で考えよう。これはSISの学びで大切にしてきたことの一つです。Be Critical! 想像力を研ぎ澄まし、昼間の空に星を見ることのできる人であって欲しいと思います。

想像力。これが、私が今日皆さんへ送りたい言葉です。皆さんへ送りたい言葉として想像力について考えているうちに、ここには3つのCがあると思いました。今、想像力の一つ目Critical について話しました。

想像力、二つ目。

自分と違う立場の人の想いを想像できる人であってください。SISでは価値観や意見の違う人を受け入れるトレーニングはバッチリ積んできましたから自信はあると思います。SISを卒業した後こそ、この力を大いに発揮し応用してほしい。

今自分の目の前にいる人身近なのためにも、そして世界のどこかで困難な状況にある人のことを考える時にも。想像力二つ目のCはCaring

想像力、三つめのC それはimaginationを超えてのcreativity。

皆さんこれも自信があるとおもいます。皆さんの芸術面でのクリエイティビティにはたくさん感動をもらいましたが、心に自由を持ち、新しいもの、オリジナルなアイディアを生み出すエネルギー、このクリエイティビティにも自信あるでしょう。私からも自信を持って言います。皆さんには、規制の枠組みを超えて、新しい世界を作り出していく力があります。力があると同時に責任もある。だって、SISで地球市民としての学びを積んできたのですから。その力を持って世界に貢献してもらわなくてはいけません。

あなたたちが高校生だったこの3年間、世界ではいろんなことがありました。テロや難民の急増など、世界が、そして日本も不安定な方向に向いていると言わざるを得ない現実があります。解決すべき課題がたくさん待っています。一方、例えば日本政府もSociety5.0というものを発表しましたが、 いろんな国や組織から提唱のある、AIやビッグデータを活用して一人一人が快適で活躍できる超スマート社会を作っていこうという未来予想図は希望に満ちてエキサイティングです。楽しみな時代です。84名の皆さんが一人一人自分らしいクリエイティビティをどんな分野で発揮してもらえるのか楽しみです。

ところで皆さんは将来を想像する時にラッキーなことがありますよね。計算が楽。

SDGsが達成されるべき2030年に30歳、2058年には?58歳、そして2101年には?101歳です。その時時代は22世紀。20・21・22の3世紀に渡る人生を生き抜けることができるというすごい運命の星のもとに生まれた皆さんです。22世紀に向かって、全力で21世紀を駆け抜けてください。

最後に、20世紀の劇作家である寺山修二氏は、想像力についてこう言いました。「どんな鳥も想像力より高く飛べる鳥はいない。人間に与えられた能力の中で一番素晴らしいものは想像力である」

CriticalでCaringでCreative 

あなたたち自身の豊かな人生のために、そして自分以外の誰かの幸せのために、そしてより良いより平和な世界のために。

想像力に磨きをかけ、うんとうんと高く高く飛び立ってください。

卒業おめでとう。

2018年3月3日 SIS校長 井藤眞由美

2017/4/4 2017年度入学式式辞

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新入生、編入生の皆さん、入学おめでとうございます。保護者の皆さま、心よりお祝い申し上げます。

体育館いっぱいの大歓声で大歓迎を受けて皆さんは本日SISの一員となられました。今の気分はいかがでしょうか。SISの入学式はこんな雰囲気だよ、と聞いて知っていたつもりだけれど実際に今体験してみてびっくりしている、と感じている人もいるのではないでしょうか。

百聞は一見に如かず。Seeing is believing、何事もほんものを体験してこそです。テクノロジーが発展している今日、インターネットを使えば世界中のいろんな場所に行った気持ちになれるし、体験できた気がします。それは便利で素晴らしいことではありますが、でも本物と「ほんものみたい」とは違います。今日はこのほんもの=Authenticということについて一緒に考えましょう。

ほんものを体験すること=Authentic Opportunities これはSISの学びの特徴のひとつです。たとえば、今日、ストリングスの演奏に迎えられましたように、音楽の時間には本物の楽器を使って本物の演奏を学びます。英語などの語学の授業では本物の使える言語として学びます。理科では本物の実験器具を使っての実験が待っています。7年生から、大人と同じ本物のリサーチの仕方や発表の仕方を学びます。高校の課題研究では、いろいろな分野で活躍している本物の人物に会いに行ってインタビューをするという体験から本物の研究を行います。本格的なミュージカルを体験できる機会もあります。そして、すべての教科の授業で本物の学びを用意しています。ほんものの学びとはなんでしょう。SISでは自分の頭で考えて理解し、自分の意見を求められますし、人の意見もしっかり聞きます。議論もします。発表の機会もたくさんあります。もっと知りたい、もっと世界を広げたいと自分から学びにむかってもらいます。そんな本物の学びの機会が待っています。本物の学びを知っている人とは、学び方を知っている人、学ぶ楽しさを知っている人です。だから大人になっても学び続ける人であってほしい。そんな本物の学びに飛び込んでください。

ここで紹介したい英単語があります。Serendipityです。私自身は15年位前にこのタイトルの映画があり、その時に初めてこの単語に出会いました。英語教員ですが、その時私はこの単語を知りませんでした。辞書を引いてみると「素敵な偶然の出会い」とあり、たしかに映画は素敵な偶然の出会いの恋愛映画でした。正直、映画はあまり記憶に残っていないのですが、この言葉がその後ずっと気になりました。不思議なもので、気になると、いろんなところで出会うのです。心理学の本や、サイエンスの記事などです。そして、このセレンディピティという言葉の意味は最初に辞書で見たものよりも実はもっと深いのだということを知りました。「棚からぼた餅」のように向こうからやってくるただの偶然の現象ではなく、出会えることは能力なのだということを知りました。サイエンスの世界では「ニュートンが、りんごが木から落ちるのを目にして万有引力を発見した、そのひらめきの能力が、まさにセレンディピティだ」というように使われており、なるほどと思いますが、人や物との出会いも同じで、素敵な出会いができるのも、運命ではなくて能力だというのです。これを知ってから、能力であるならば努力で伸ばすことができるはずだと考えてきました。15年間考えた末私は、このセレンディピティーを高めるには何よりも本物にたくさん触れることが大切だと思っています。そして、目の前にあるチャンスに対して自分から行動を起こす気持ち、また、そこで遭遇する予想外のことや自分にとって異質と思えることも受け入れるという経験を積んで身に着く能力だと思っています。SISには目に見えるチャンスも見えないチャンスもたくさん用意されています。しっかりと本物をつかみ取って、セレンディピティを高めてもらいたいと思っています。

「ほんもの」についてもうひとつ話をします。皆さんを取り囲む旗を見てください。たくさんの旗の中で、ふたつある旗があります。国連の旗です。どうしてSISの入学式には国連の旗が、しかも二枚掲揚されているのでしょう。今日はこの入学式の前に、新入生と編入生のみなさんには、生徒宣誓の書類に署名をしてもらいました。このあと代表の人たちにこの場で複数の言語で宣誓を聞かせてもらえることを楽しみにしているのですが、このSISの生徒宣誓には、「世界人権宣言の精神を追求し」とあります。世界人権宣言は第二次世界大戦のすぐ後の1948年に国連で作られたものです。ました。戦争を反省し、世界の平和を願って作られました。SISは今日第27回目の入学式を挙行していますが、その第1回目から国連の旗を中心に掲げ、世界人権宣言を取り入れた宣誓を行ってきた学校です。世界人権宣言でも特に大切にしている第二条は、生徒ハンドブックにも掲載されています。

Everyone is entitled to all the rights and freedoms set forth in the Declaration, without distinction of any kind, such as race, colour, sex, language, religion, political or other opinion, national or social origin, property, birth or other status.

すべてのひとに権利と自由があり、その人がなに人か、肌がなにいろか、男か女か、どんな言葉を話すか、何を信じるか、何を言ったり言いたがっているか、世界のどこから来たか、金持ちか貧しいか、どんな生まれか、身分は何か、などのことで差別されない。

これは例えて言うならば、和菓子も好き、パンも好き、カステラもおいしい、トルティーヤもナンも、、、そこに優劣がないのはもちろんのこと、このような豊かで多様な文化に触れることを喜びだと感じとることのできる心で、地球の一員、世界市民として成長しましょうということです。SISは、自分の国や住んでいる国を大切にすると同時に、世界中がよりよく、より平和になることを大切に考える学校です。関西学院千里国際は、「本物の国際学校」です。

さあ明日から一緒に本物の国際学校で、本物の学びに取り組みましょう。セレンディピティを高めて素敵な人や物やチャンスに出会いましょう。

皆さんあらためてSISへようこそ。入学おめでとう。

2017年4月4日 SIS校長 井藤眞由美

2017/3/15 中等部卒業式式辞

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SIS中等部卒業生の皆さん卒業おめでとう。日本の義務教育を終えられました。保護者の皆様本日はまことにおめでとうございます。

体育館で、大歓声に迎えられた入学式から3年たちました。あの日のことおぼえていますか (その時まだSISにはいなかった人には、ごめんなさい、想像力を使って映像を浮かべてくださいね)。 皆さんを迎えてくれた校長先生は眞砂先生でした。生徒宣誓はなんと12言語で行われ、この学年の7年生からが8名がそれぞれの言語(日本語、フランス語、中国語、韓国語、アラビア語、イタリア語、ヘブライ語、ロシア語)で堂々と宣誓をしてくれたのが、この学年のSIS一日目でした。個人的にも、当時教頭としてみなさんとのかかわりの初日、とても印象的な入学式でした。あれから三年。立派になって中等部の卒業を迎えられました。

入学当初は、チャイムが鳴らない学校で次の授業の教室に行くのに必死だった人、迷子になっていた人もいましたね。音楽・体育・美術のシェアード授業でカルチャーショックを受けたり苦労したこと、今では嘘のようでしょう。3年前の入学式で、高等部の生徒会長だったリオン君が、スピーチの前半を英語で語り、今僕が行ったことわからなかった人も心配しないで、すぐにわかるようになるよ、と言ってくれていましたが、今ならノープロムレムですよね。

SIS中等部でのみなさんの成長の基盤には5リスペクトがありました。自分・他人・学習・環境・リーダーシップ。中学を卒業するにあたり、この5リスペクトをテーマにした卒論として、中学を卒業する思いを綴ってもらいましたが、一人一人が自分の成長をしっかり振り返ってくれていて、その表現方法には、それぞれの自分らしさがあふれていて、大変読み応えがありました。シアター入り口に並べていますので、保護者の皆様、ぜひ今日の時間の許す限りお読みいただきたいと思います。

私はみなさんの論文を一気に読んで、一つ新しい単語を覚えました。

「ガチ勢」=本気で取り組む人たち、という意味と理解しましたが合っているでしょうか。「不思議ウィークのガチ勢でした」「百人一首のガチ勢でした」と頻繁に使われていたので覚えました。私も使ってみたいと思います。「私はSISラブのガチ勢です」。

この卒論の中には楽しい思い出もたくさん綴られていましたが、印象的だったのは、多くの人が、失敗したことや間違ったことをしてしまったこと、喧嘩をしたこと等について振り返って書いていたことです。たとえば、ある学年の学園祭の取り組みが失敗だったと書いていた人。「その年は失敗ではあったがすごくいい経験だった、そのおかげでリーダーシップの大切さとフォロワーの役目がわかって、次の年にいかせた。」別の人は、「あの時のあの喧嘩、あれは防げたのではないか、とか、テスト直前に慌てるのではなくて事前に準備しておけばよかった、とか、あの試合には勝てたはずではないか、など後悔はあるが、後悔するよりも同じことを繰り返さない努力をすることが大事だと学んだ。」また別の人は、「間違ったことをして罪悪感でいっぱいになったこともあったけど、考えようによってはいい経験。次には同じことをしないようにすればいい、と立ち上がるのを助けてくれる人たちがいた。 」

新しことにチャレンジしているときに失敗があるのはあたりまえ。失敗は何も恥じることではありません。そんなアドバイスをSIS中等部の生活の様々な場面で聞いてきたと思いますが、そう言ってはみてもその時は苦しかったでしょう。悲しかったでしょう。悔しかったでしょう。でも、それらをしっかり振り返って、そこから何を学んだかに今思いを馳せてくれている、そういう皆さんをとても誇りに思いました。

The opposite of success is not failure. It’s not trying.という英語のことばがありますが、成功の反対は、失敗ではなくて、やってみようとしないことだ、という意味です。これからもどんどん恐れず失敗しよう!これが、みなさんの卒論から導き出したスローガン一つ目です。

さて、もう一人別の人の言葉を紹介します。テーマはKY。

「空気が読めない人のことをKYとよんだりするが、私はこのKYというのは、とても大切な存在だと思う。むしろ尊敬するくらいだ。例えば何か話し合いをしている時に100人中99人が賛成の中、一人だけ反対したら、その人は間違いなくKY扱いされるだろう。ただ私は、このKYの存在こそが議論を発展させる鍵だと思う。もし先ほどの例で、全員が賛成してしまったらどうなるだろう。議論は円滑に進みすぐに片付くだろう。一見良さそうに見えるが、これが大きな落とし穴である。もしそれがとんでもない政策でそれに全員が空気を読んで賛成してしまったらどうだろう?Noという意見をぶつけ議論すること、KYと言われるかもしれない行為を行う勇気こそが周りの人々や環境を考え、尊び、大切に思うということではないだろうか。」

深いですね。5リスペクトで学んだこととしてこのように表現してくれたことをうれしく思います。スローガン二つ目は「これからもどんどん勇気をもってKYしよう!」です。

実は、表現は少々違いますが、多くの人が似た趣旨のことを書いていました。「SIS中等部で自分らしさを知って自信を持って自分を表現することをおぼえた。そして自分とは違う意見や考え方を認めることを学んだ。」と。また、「個性的な人たちからいろんな文化や価値観を学んだ」とも書いていましたね。地球に住む一市民としてとても大事なことを学んでくれていること、うれしく思います。とは言え皆さん、実はまだまだこれは入り口ですよ。やっとステージ1をクリアしたところ。これからの高校生活に、そしてその先の人生には、まだまだ未知の世界が待っています。衝撃の新しい出会いが待っています。まだまだ知らないことは世の中にいっぱいあるのですから、アンテナを貼って新しい出会いをキャッチしてもらいたいと思います。また、自分を知る、とか、自分らしくある、ということについても同じです。自分がまだ気づいていない自分の可能性についても、未知の世界をさらに開拓してもらいたいと思います。

高校時代はステージ2。

SISの高等部に進学する人へ。すでに自分だけの時間割が作られていて楽しみにしてくれているとおもいます。楽しい授業が待っています。もっともっと広く世界を知るチャンスとなる活動の機会もたくさん待っています。自分で決めた研究テーマを深めていくワクワクするプログラムも待っています。「Learning at SIS High School のガチ勢」になってくださいね。そんな皆さんには春休み中の課題を出します。中学生活をしっかり振り返ったところで、SIS生徒としての自分をいったんリセットしてきて欲しいのです。初期化です。そして一緒に高校に上がる仲間たちについても、その人についての知ってることやイメージなどもいったんすべて削除しましょう。喧嘩した記憶ももちろん削除です。4月には海外や他の中学から新しく入学してくる人もたくさん迎えます。その人たちと同じ真っ新なスタート地点に立ってもらいたいと思います。皆さん一人一人を新しく出会う個人=individual として、四月にお迎えする日を楽しみにしています。

SIS以外の高校に進む人へ。

SISで大切にしている5つのリスペクトは、世界中のどこで暮らしても何歳になっても応用していくことのできるものです。皆さんがSIS中等部での生活で身につけたこと(それはもしかしたらずっと後になって気づくこともあるかもしれませんが)に自信を持って新しい世界で大いに挑戦してください。遠くにいても応援しています。

全ての卒業生の人へ、SIS中等部の卒業おめでとうございます。

2017/3/5 高等部卒業式式辞

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 Class of 2017 卒業おめでとうございます。

卒業証書を手にした今の気分はいかがでしょうか。私も卒業証書を授与するという人生で初めての経験を終え、とても光栄で嬉しい気持ちでいっぱいです。

こうしてみる皆さんは一人ずつ違う色の輝きを放っていてまさに百花繚乱、色とりどりの花畑のようです。着物やドレスやの色のことを言っているのではなく、それは個性の色です。その色はこれまでもいろんな場所でいろんな形で見せてもらいました。つい先日のシアターで、フィールドやジムで、メイプルホールで、台湾で、アジア学院で、キャンベラで、上ヶ原で、三田で、京都国際会議場で、チチンプイプイで、後輩のサポートをしてくれている教室で、東北熊本支援チームで, Tangoで、、、言いつくせませんので止めます。そしてもちろん様々な授業の教室で。(みんなが同じ色なのに、個性炸裂のチームワークを見せてくれた時もありましたね、その時の色はピンクでした)

百花繚乱、色とりどりの花畑のイメージができたところで、一つ、白い花のことを紹介させてください。玄関の外にある木に咲く花です。今日はまだこれくらいの大きさのつぼみです。モクレン。英語ではマグノリア。一番の見ごろがだいたい春休み中になるのでみんなの目に止まる期間が短いのですが、知っているでしょうか。この花は、一億年前から変わらない姿をしているそうで花言葉はなんと「持続性」です。

「マグノリアの木」というお話があるのです。宮沢賢治の短編です。主人公はマグノリアの花を探して旅をします。冷たい霧の中、険しい谷や峰を苦労して歩くのですがなかなか見つかりません。木の根っこに引っかかって倒れたりしてボロボロになって諦めかけたときに平らな丘の上にたどり着きます。そこから振り返った時に、さて、何が見えたと思いますか。苦労して歩いてきた谷や峰一面見渡す限りに、探していた白いマグノリアの花が咲いているのです。これは何を意味しているのでしょうか、そのことを考えながらこの景色を心に覚えておいてくださいね。

3年前の入学式で眞砂前校長は、学びのプロセスについて話されました。皆さんこの3年間、結果ばかりに目を向けることなく、学びの過程そのものを楽しんできたことと思います。SISでの学習や生活を振り返って、一番身につけたと思う力は何でしょうか。もちろんいろいろあると思うのですが、皆さんは、「一人ずつ違う個性を大事にし、自分とは違うものの見方や考え方を認めあう」という力を何よりも身につけてきたと思います。自信を持ってそう思います。そしてそんなあなたたちは私たちの自慢です。

グローバル化が急速に進み、地球的規模での課題を共に解決しようという活動は進んでいます。ところが一方、悲しいことに、今世界の多くの場所で(日本も含めて)多様性に逆行した、閉鎖的・排他的な発言や動向を耳にします。でもだからこそあなたたちの出番です。地球のどこかで起こっている問題に一緒に腹を立てたり、地球全体の課題と言われることに共に苦しんだり、解決のために悩んだり、というSISで取り組んできた事を、これからも続け、さらに深めてもらいたいと思います。ではここで例題です。去年、日本に難民申請をした人は、一万人を超えたそうです。その中で認定された人は何人だと思いますか。答えは28人です。さあ、この数字を聞いてあなたは何を考えますか。

そして、なんと言っても一度しかない人生です。夢は大きく、思いっきり自分らしく生き抜いてください。勇気を持って新しい事にチャレンジです。人類がまだ成し遂げていない事にだって挑戦できますよ。あなたならできる。

任せてください!という表情を見せてくれている皆さんに今言わなくてもいいのしれないと思いながらも、もう一言伝えさせてください。それは、人生いつも順調に進むわけはないということです。壁にもぶち当たる、谷底にも落っこちる、、そんな時のあなたに届けたい言葉はこれです、「生きてるだけで丸儲け。」

さっきのマグノリアの木の話の景色をもう一度思い出してみてください。マグノリアの花を、つまり幸せを求めて苦しい旅に出た主人公ですが、求めていたものは、特別な何かを成し遂げるところに待っているのではなく、毎日の、目の前のことにただただ頑張っていた日々にこそあったということですね。

私は、きついと感じる日にはまず空を見ます。この広い宇宙の中の地球という小さな星で、こうやって命をもらって生きているということそのものが不思議で奇跡的です。命あって、ささやかでも誰かの役に立つことができたのなら、その日一日、生きててよかった、と。それが、「生きてるだけで丸儲け」です。もしもの時のために覚えておいてもらいたいと思います。

最後になりましたが、保護者ご家族の皆様、本日は誠におめでとうございます。

オギャーと生まれたあの日から18年間、この瞬間に、一番懐かしく思いだされるのは、何歳の時のどんな場面でしょうか。お子さまをこんなに立派に育てられたことに対して表彰状をさしあげたい思いです。また、本校の教育へのご理解と力強いサポートをありがとうございました。教職員一同を代表してお礼申し上げます。

Class of 2017。 SISスピリッツを存分に発揮し、後輩に素敵なその背中を見せてくれてありがとう。明日からあなたたちは、SIS生徒ではなく卒業生です。これからは卒業生として、さらに進化していくSISを応援してくださいね。今日まで私たちの生徒でいてくれてありがとう。そしておめでとう。

2016/4/4 入学式スピーチ

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しあわせな人生のために

新入生、編入生の皆さん、入学おめでとうございます。保護者の皆さまお子さまのご入学おめでとうございます。

新入生・編入生の皆さん、そろそろ緊張はほぐれてきたでしょうか。一度この入学式の会場をゆっくり見回してみて下さい。SISの入学式にはどんな特徴があるでしょうか。

ひとつの特徴は、たくさんの人がここに集まり、みなさんを祝福しているということです。この場所には今、SISの全ての学年の生徒が集まっています。生徒数が過去最高の510人となり、今年は初めて12年生には二階に座ってもらいました。(二階の居心地はどうでしょうか?)

また、今年はドイツミュンヘン近郊にある姉妹校、Gymnasium Grafingのレスレー先生と11人の生徒の皆さんにも入学式に参列してくださっています。

関西学院院長の田淵先生も間もなく駆けつけてくださいます。

毎日一緒に学校生活をすごすことになるもう一つの学校、OIS/大阪インターナショナルスクールの校長先生Mr Kralovecと生徒代表、そして先ほど紹介したSIS教職員一同がみなさんを心から歓迎しています。

他にも特徴があるでしょうか。そう、会場を取り囲む旗が華やかです。日本の国旗もあります。ほかの国の旗もたくさんあります。日本以外の国籍を持っている人、海外に滞在していた人はその国・地域の旗があるでしょうか。(もしあなたの国の旗が無ければ購入しますので、のちほど必ず教えに来てください。) いろいろな国・地域の旗のほかにもう一つ注目してもらいたい旗があります。会場の後ろ真ん中と正面にあるこの青と白の旗、これは国連の旗です。北極を中心に南緯60度までが描かれた世界地図が平和の象徴であるオリーブの葉に囲まれています。この旗は、国や地域を象徴する他のたくさんの旗とは違って、地球全体を象徴しています。さきほど色々な旗を見ながら、自分はたとえば日本人である、中国人である、とか、ニュージーランドと日本の二つの国籍を持っている、などのことを意識したことと思いますが、それと同時に、この国連の旗を前にしては、私たちは国という概念を超えていわば、「地球市民」あるいは「世界市民」としても生きているのだと意識する必要があります。SISの入学式は国連の世界人権宣言の精神を大切に考えて行っています。

SISの第一回入学式は25年前の1991年4月12日に行われました。その時から今日の第26回目まで生徒数が増えて規模が大きくなっても、基本の精神とこれらのスタイルは変わることなく、発展し、こうしてすっかり本校の伝統となりました。

ところで皆さんに質問です。人生の目的は何ですか、と聞かれたらあなたは何と答えますか。

私は、人生の目的とはしあわせになることであると答えたいと思います。この世から消える最後の瞬間に「ああ、幸せな人生であったなぁ」と思わなくちゃ。なーんだ、あたりまえすぎる答と思ったかもしれませんね。オギャーと生まれた日から、人は、快適で心がほっとできること、を求めて生きているのは当然なことですから。

先月、この場所でSIS高等部の卒業式が行われたとき、卒業生は一人ずつ短い一言スピーチをしたのですが、ある生徒のひとことに私は圧倒されました。彼女はこう言いました。「毎日、今が一番幸せと思える6年間でした」すごいと思いませんか。6年間毎日、昨日より今日が幸せだったと言うのです。6かける365日、幸せ度数の階段を何段上ったのか、、、ということではなく、彼女の、幸せというものをこのように感じることのできる心のありようの素敵さに圧倒されました。幸せな人生を送るためには、まずは幸せを感じる心を持っていなくてはいけませんね。

それにしても、人生の目的が「しあわせになること」だとして、幸せとは何なのでしょう。お金や物に恵まれた状況?恋愛?何よりも大切なのは、先ほどの卒業生のように、幸せをキャッチできる心の持ちようであると思いますが、さてさてでは中学生高校生の時代はそのために何を目指せばいいのでしょうか。

私たちは、もちろんその答えはSISとOISの学校の理念にあると信じています。
Informed, Caring, Creative Individuals Contributing to a Global Community
これも入学式の精神と同じく、創立時から25年間変わらない大切なものです。
Informed=地球市民の一人として、確かな情報をもち、それを分析したり、問題解決のために活用できる人に。
Caring=思いやりのこころ。人の心の痛みのわかる人に。まずは身近な人に対して、そして、地球市民として、世界のどこかの会ったことがない人に対しても。
Creative=創造力、新しいものを作り出すエネルギーを持った人。
Contributing to a global community この地球上で、誰かのために役に立つことを考えることのできる人。

先月卒業した皆さんの先輩の中には、SGHの課題研究論文に取り組み、そのテーマに「しあわせ」を選んだ人が二人いました。正置彩花さんは、メキシコの人がなぜ物質的に恵まれなくても国連の幸福度指数で上位にあるのかについて研究し、「家族や友人とのつながりの深さがその要因である」と述べました。中原琢磨さんは、「しあわせには、自分の欲求がみたされる幸せと、他人の幸せを自分の喜びにできる幸せとの二種類ある。」と論じ、他人の幸せのために努力できる人の幸福度が高いことを示しました。

この二人の論文から、SISの理念、中でも特にこの二つのことば、Caring=思いやりの心、と、Contributing=誰かのために役立とうとする気持ち、が、幸せな人生のための秘訣と言えるのではないかということを教えられます。

明日からの学校生活で、たくさん勉強してください。自分の頭でいっぱい考えてください。いろんな活動にチャレンジしてください。楽しいことや遊びにも全力で取り組みましょう。そして、学んだことや吸収したことを、「思いやりの心を持って誰かのために役立てること」そのことをこのキャンパスで一緒に学んでいきましょう。

今ここから見えるみなさんの顔はキラキラと輝いています。

明日からのSISでの生活が毎日毎日、昨日よりももっと輝いた日になることを願っています。

入学おめでとう。